Angaur Studies

パラオのアンガウルについて皆んなで学ぶブログです。

自民党青年局のパラオ訪問が観光旅行にならないように(2)

 

放置されている日本人墓地とアンガウル州旗

自民党青年局がパラオを訪ねたら白い砂浜でバーベキューなどしてはいけない。そんな事は早く直行便を就航させて、プライベートで、家族と一緒に行ってやることだ。

さて、自民党青年局のパラオ訪問が観光旅行にならないような提案が後2つある。

米軍のレーダー基地と中国マフィアのカジノリゾートを巡るアンガウル州の開発問題だ。

パラオに米軍レーダー基地が設置されつつあることは自民党青年局は理解しているであろうか?同じ場所、アンガウル州には以前からカジノリゾート開発の話があったが、数年前に中国の三合会に99年の土地リースがされたとの報道があった。

最近米軍の建設工事に対し、環境アセスメント(破壊)や請負会社についてアンガウル州政府がパラオ政府、米国政府、米国請負業者、パラオ環境保護委員会(EQPB)に対して訴訟を起こした。

Angaur State sues Palau, US, and US military contractors over TACMOR Project - Island Times

この訴訟に関し、伝統的首長グループからはアンガウル島民は事前に知らされていないし、米軍の開発は島に利益をもたらすと反対の署名をしている。パラオ憲法では伝統的首長の役割が明記されている。

Angaur Ngermasech chiefs oppose any lawsuit against the US military or its contractors - Island Times

そして、8月2日パラオ裁判所が、アンガウル州政府による一時的な禁止命令の要求を拒否する命令を発行。

Court denies TRO request in the Angaur case,Angaur citizens divided on the lawsuit - Island Times

ポイントは2つある。米軍レーダー基地は日本を含む西太平洋、インド太平洋全体の安全保障も問題であり日米同盟が強化されつつある日本の問題でる。パラオ政府だけでなく現地米軍、米国政府との意見交換は必須だ。

もう一点はアンガウルと日本の歴史的関係である。日本統治時代にはリン鉱石開発がされ、日本人の墓が荒れ果てた状態で放置されている。アンガウル住民はコロールにもいるはずだから自民党青年局のメンバーは意見を聞く機会を持ったらどうであろうか?

・・・

When the LDP Youth Division visits Palau, they should not be barbecuing on the white sandy beaches. It should start direct flights as soon as possible, and go there privately and with their families.

Now, there are two more proposals to ensure that the LDP Youth Bureau's visit to Palau does not turn into a sightseeing trip.

These are the US military radar base and the development issue in the state of Angaur over the Chinese mafia's casino resort.

Does the LDP Youth Division understand that a US military radar base is being established in Palau? There has long been talk of developing a casino resort in the same location, in the state of Angaur, but it was reported a few years ago that a 99-year land lease had been granted to the Chinese Mafia.

Recently, the Angaur State Government filed a lawsuit against the Palau Government, the US Government, the US contractor and the Palau Environmental Protection Board (EQPB) over environmental assessments (destruction) and contractors for the US construction work.

In relation to the lawsuit, Angaur islanders have signed a petition against the lawsuit from the Traditional Chiefs Group, saying that they were not informed in advance and that the US military development would benefit the island. The role of traditional chiefs is enshrined in the Palau Constitution.

Then, on 2 August, the Palau Court issued an order denying the Angaur State Government's request for a temporary restraining order.

There are two key points.
The US radar base is also a security issue for the entire Western Pacific and Indo-Pacific region, including Japan, and is a problem for Japan, where the Japan-US alliance is being strengthened. It is essential to exchange views not only with the Palau Government, but also with the local US military and the US Government.

The other point is the historical relationship between Angaur and Japan. During the Japanese occupation, phosphate exploitation was carried out and Japanese graves were left in a state of disrepair. The LDP Youth Division members should have the opportunity to listen to the opinions of the Angaur people, as there must be some of them in Koror.

 

パラオアンガウル州で日本語が公用語なワケ?それがフツーだから

パラオアンガウル州で日本語が公用語なワケ?それがフツーだから。

ネトウヨを一刀両断の学術研究をツイッター、Spaceで紹介しました。

https://twitter.com/i/spaces/1rmxPkOrLzyJN?s=20

 

まずはパラオの日本語借用語を研究され本も出した今村圭介さんの論文。

日本語が公用語として定められている世界唯一の憲法 ―パラオ共和国アンガウル州憲法

ダニエル・ロング 今村 圭介

http://nihongo.hum.tmu.ac.jp/~long/longzemi/201503b.pdf

パラオにある16の州とパラオ憲法にある言語の記述を抽出し分析。さらに現地ヒアリングを行った内容。下記の本論文から引用した8点が重要。

  1. パラオ語に日本語起源の借用語が多いことはよく知られているが、とりわけ政治、 経済、行政などに関する多くのパラオ語は日本語起源のものである。つまり、これ らの分野において日本語は必要不可欠であった。

  2. 故 Carlos Hiroshi Salii 弁護士(元 EU 大使)によれば「投票権を行使するのに日本 語が必要であった」(山上博信の聞き取りによる情報)。図3は 1996 年 9 月 24 日の sengkio(選挙)の投票用紙で、kohosia(候補者)の氏名がアルファベットと片仮 名の両方で記されていることが分かる。

  3. 憲法が書かれた時の長老たちは、ほぼ全員日本語が流暢に話せた(ロング&今村 2013)。憲法の署名はカタカナ表記が多い。その例として図4のカヤンゲル州憲法 を参照されたい。

 4. アンガウル島では戦後育ちの人ですら日本語を少ししゃべれる人が複数いた(ロング&今村(近刊)。      Victorio Uherbelau は“Speaking Japanese was hutsu”(日本語をしゃべることは普通だった)と語った。

  1. アンガウル島は戦後にも日本との強い関係が保たれたため、日本語が使われること

    もあった。1940 年代なかばから 1950 年代なかばまでの約 10 年間、燐鉱石採掘の

    産業によって多数の日本人が島で暮らしていた。

  2. 1960~70 年代にも日本人来島者がいた。ほとんどはかつて(戦前・戦後)アンガ

    ウルで暮らした経験のある人々であった。

  3. 戦前にサイパンの人々がアンガウル島で生活していた(図5の地図には「サイパン

    村」が明記されている)。戦後にチュークの人々が労働者としてアンガウルに滞在 していた。そのため、戦前・戦後ともに日本語は日本人と話す時に使うものだけで はなく、非母語話者同士の共通言語という重要な役割を果たしていたのである。

  4. 上記の1,2,3はパラオ全土と共通していた事情であるが、4,5,6,7はパ ラオ全体ではなく、アンガウル州だけの特殊な事情であった。

そして結論として日本語を公用語とすることが当たり前であった、すなわち巷のネトウヨが勘違いしているような「親日」だからというわけではないことを明確にしている。(当方の認識の範囲では親日でない、というわけでもなさそうである。)

以下本論から引用。

 

…直接憲法制定会議に出席していた人を含め、 多数の関係者から話しが聞けたにも関わらず、日本語を公用語にしたという明確な理由 が得られなかった。「いや、なんとなく公用語に日本語を含めた」という消極的な証言し かなかった。最初は、これで調査が失敗したと考えていたが、聞き取りを進めているうちに、「特別な理由もなかったほどアンガウル島民にとって日本語が身近な存在だった」 ということが明らかになってきた。言い換えれば、憲法制定当時のアンガウル島の環境 では、アメリカ統治下での英語使用と同様に日本語使用が自然であり、公用語への選定 に特別な理由がないこと自体が大きな理由となっているのである。

 

次に紹介したのは山上博信氏の二つの発表メモのような文書である。

タイトル:パラオ共和国アンガウル州憲法で「日本語」が公用語の一つとされた事情http://iminseisaku.org/top/conference/121208_yamagami.pdf

タイトル:パラオ共和国アンガウル州憲法で「日本語」が公用語の一つとされた事情(2)

http://iminseisaku.org/top/conference/130512_yamagami.pdf

今村氏の論文と重なる部分が多いが、問題意識はまともな学術調査もされていない同案件をインターネットなどでいい加減な情報が拡散し、さらにパラオ内でも同様な議論がされていることを指摘している。

興味深いのが戦後、日本人によるリン鉱石の採掘と警察隊が派遣されたことである。そして米国管理にあった小笠原との交流もアンガウルの特徴的歴史の一つであろう。以下論文から引用。

1・アンガウル島について

アンガウル島には燐鉱石が豊富にあったことから,第一次大戦前ドイツにより採掘が開 始された。わが国の南洋委任統治により,同島が玉砕するまでの間,日本人のみならず, 共通語を日本語とする南洋群島各地から労働者が多数集まり大規模な採掘事業が行われた。

敗戦後,南洋群島の邦人移民は全員引き揚げたが,連合国軍総司令部(以下,「SCAP」と言う。)により,燐鉱開発株式会社(英文略称「PMC;Phosphate Mining Company,パラ オでは「リンゴー」)が設立され,日本人により 1956 年まで採掘された。SCAPは,警 察予備隊が設立される前の日本警察隊に対しても派遣警備を命じている。

アンガウル島民は,戦後も永らく日本人(特に「返還前の小笠原島人」)と交流したと言 える。

 

米国の占領政策は日本に対する政策を含め、興味深い。日本の重要な海洋パワーである海上保安庁水産庁は1948年の占領下、米国が創設したものなのだが、米国人はほとんど知らない。無責任な国家である。

 

 

行方不明となった保健省の船が見つかりました!!(更新)

アンガウルを出発し行方不明となった保健省の船が、見つかりました!!
 
以下、機械訳。
公安調査庁のSAR作戦を成功に導く
公安局は、SAR作戦が成功したことを一般に公表しています。MHHSの医療チームとボートオペレーターは発見され、コロールに向かう途中です。
シニア副大統領兼大臣、アグオンBPS局長、副大統領府・法務省の皆さんは、皆さんの祈り、思い、努力に感謝の意を表しています。
また、PNCCの努力と貢献に対して謝意を表することができなかったことをお詫びします。医療チームの携帯電話を通じた接続ポイントの確立にご協力いただき、SAR作戦の監視区域の特定に役立ちました。ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
 
詳細は順次法務省から発表されるそうです。
***
コロールに到着した保健省の人々。一体何があったのか・・パラオ語でわからない。。
 
***
下記は捜索中の情報だが、米国沿岸警備隊が調整役を買って出ているところが重要。

機械訳

公安調査庁SAR作戦の最新情報
2023年3月4日(土)10:00-米国沿岸警備隊は、捜索救助活動の調整役として、ペリリュー州ロバーツ知事やアンガウル州民など、捜索救助活動にボランティアとして参加している船舶レメリクII、ブル、SSCクサウタグボートや個人船主の活動を調整する役割を担っています。また、PMAやシードラゴンの航空支援も含めての調整です。
シニア副大統領兼法務大臣は、SARオペレーションが継続される中、行方不明者とその家族のために祈りを捧げるよう、国民に呼びかけています。

日本からアンガウルへフェリーボート調達支援

アンガウルを出航した保健省の海難事故で思い出しのが2023年2月27日の在パラオ日本大使館の情報。訳2千万円の「アンガウル州フェリーボート調達プロジェクト」が供与されたらしいのだが、行方不明になったのはこの船ではないことを祈る。

The information from the Embassy of Japan in Palau on February 27, 2023, is what I recall from the Ministry of Health's marine accident that left Angauru. It is said that the "Angaur State Ferry Boat Procurement Project" of 20 million yen was granted, but I hope it was not this boat that went missing.

 

以下、機械訳

2023年2月27日、折笠博之日本大使とアンガウル州知事ティーブン・R・サリイは、日本の草の根・人間の安全保障無償資金協力事業(GGP)の「アンガウル州フェリーボート調達プロジェクト」(21万1500ドル)の助成契約に署名した。調印式は日本大使館で行われ、ウチェルベラウ・ロレンソ・エドワード高官、ウチェルケムル・ノロ・ナルオ高官をはじめとするアンガウル州議会議員、アンガウル州交通局局長が立会いました。

アンガウルを出航した保健省の船が遭難

思いニュースばかりでここに書くのが遅くなりました。

3月3日の午前中に医療活動をしにアンガウルを訪れていた、パラオ保健省の船が出航後行方不明で、未だ捜索中とのこと。船は間に合わないだろうから空自の飛行機が出ることができ何か?こんな時のための訓練だったのではないか?

 

以下Ministry of Justice, Republic of Palauのフェイスブックから機械訳

公安調査庁が捜索・救助活動を実施
本日2023年3月3日午前11時25分、アンガウル州を出発し、ペリリューに向かう保健福祉省の医療チームを乗せていた25フィートダブルエンジン130馬力のキャビンボートが、今夜午後7時23分頃、行方不明になったと報告されました。
SAR  Remeliik、SAR II、Bul、およびKoror State Rangersの2隻のボートによる捜索救助活動が直ちに実施されました。この作戦は、明日の朝5時30分にPMAが航空救助を行い、さらにUSコーストガードの支援を受けて継続されます。PMAの航空機内では、犯罪捜査課から1名、麻薬取締班から1名が捜索・救助を行う予定です。
本船に乗船していた行方不明者は、オペレーターのAbraham Tatingal氏、Sylvia Wally医師、Ruth Naruo看護師、Minda Benjamin看護師の4名と推定されます。最後に確認された連絡は、ペリリュー島アンガウル島の通信塔で11時50分、11時56分、12時に発信された電話によるものです。
公共安全局は、行方不明者がこれらの通話を試みた際に接触した可能性のある人物は、直ちに911に連絡するよう強く要請しています。
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続報です。機械訳
空自の飛行機、出せないのだろうか?こういう時の訓練だったのでは?
公安調査庁サーチ&レスキュー作戦の最新情報
2023年3月4日(土) - SARオペレーションによる医療チームを乗せた行方不明のキャビンボートは目撃されていない。ブルが捜索を続けている間、SAR RemeliikとSAR IIは給油のため陸に戻り、朝6時に作戦を再開する予定です。また、現在アンガウルにいるSSC Ksau Tug Boatも支援を約束し、日没後にSARオペレーションに参加します。米国沿岸警備隊は、5:00amまでにカッターとともに航空支援を展開し、作戦を支援します。
 公共安全局(BPS)は、この事件が一般の方々、特に行方不明と思われる方々のご家族やご友人に与える影響について認識しています。SARオペレーションが継続される中、BPSは、職員が最善を尽くしており、国民への最新情報の提供を含め、オペレーションを継続することを国民に保証します。
シニア副大統領兼法務大臣、アグオンBPS長官、および副大統領・法務大臣室の一同は、SAR作戦においてSurangel & Sons' Company、Koror State Rangers、および米国沿岸警備隊が提供した支援に感謝の意を表しています。また、ウォーリー博士のご遺族から、本作戦に参加した警察官のために食べ物や飲み物を提供していただいたことに感謝します。
 

アンガウル知事選挙と230人の好ましくない人物

米空軍R・シュミット司令官とスズキ前知事

ニュージーランドのジャーナリストMichael Fieldが短いメモを書いていた。アンガウル知事選と今年4月に発行されたパラオ滞在の好ましくない外国人の230人のリストの関係だ。202人が中国人である。

2017年には前大統領れメンゲサウが公表した14名のリストがある。5年で14人から230人。これが意味するものは?

そしてフィールド記者は知らないかもしれないが、アンガウル州をめぐる怪しい動きは遅くても2004年頃からあるのだ。今回の選挙で68票しか取れなかったKennosuke Suzukyが中国人マフィアと取引をしているという噂は色々なところから耳に入っていた。主権者は知っているのかもしれない。

New Zealand journalist Michael Field wrote a short note. It relates to the Angaur governor's election and the list of 230 undesirable foreigners staying in Palau published in April of this year, 202 of whom are Chinese.

In 2017, former President Remengesau published a list of 14; in five years, from 14 to 230. What does this mean?

And what Field reporters may not know is that the suspicious activity surrounding the state of Angaur has been around since 2004 at the latest. I heard rumors from various sources that Kennosuke Suzuky, who only got 68 votes in this election, was doing business with Chinese. The voters must have known about it.

 

<以下マイケル・フィールド記者のメモ機械訳>

パラオの不思議な出来事 10月に報じたように、同共和国の島の一つであるアンガウル島は、米軍によって開発が進められている。8平方キロメートルのこの島に、2億ドルをかけて過激な「水平線上レーダー」を設置しようとしているのだ。このレーダーは、2500キロメートル離れた中国の海岸に向けられたものである。第二次世界大戦の結果、アンガウルには長い滑走路があり、最近アメリカの資金で修理された。
 一方、アンガウル島の物議を醸したKennosuke Suzuky知事は、この島に対して別のアイデアを持っていた。それは、中国の興味深い後ろ盾を得たカジノである。Pacific Newsroomはパラオ大統領Surangel S. Whippsが望ましくない外国人として宣言した244名のリストを持っています。そのほとんどがアンガウルやSuzukyに関係している。
パラオは長年カジノ開発を違法としてきたが、Suzukyマカオのギャング、「折れた歯」ことワン・クオク・コイと接触し、世界中でカジノ開発をしていることを秘密にしてきた。米国財務省はワン氏とビジネスをすることを禁じている。
アンガウル州の有権者は明らかに感心していない。Suzukyは今週、投票によって脱落した。レーダー開発に関しては、おそらくほとんど意味がないだろう。しかし、中国のカジノはおそらく水泡に帰すことになる。
(写真:Whipps氏のリストの一部と選挙結果)
 
原文
Strange events in Palau. As reported in October, one of the republic’s islands, Angaur, is being developed by the United States military. They are spending $200 million on a radical “over the horizon radar” on the eight square kilometre island. It is aimed at China whose coast is 2500 kilometres away. As a result of World War Two Angaur has a long runway, recently repaired with US money.
Angaur’s controversial governor Kennosuke Suzuky meanwhile has had other ideas for the island: a casino with interesting Chinese backers. Pacific Newsroom has a list of 244 names, who Palau President Surangel S. Whipps declares as undesirable aliens. Most of them are linked to Angaur and Suzuky.
Palau has outlawed casino development for years, but Suzuky has made no secret of his contact with Macau gangster Wan Kuok-koi, aka “Broken Tooth” Koi, who has been developing casinos around the world. The US Treasury Department has forbidden from doing business with Wan.
Voters in Angaur plainly have not been impressed: Suzuky has been voted out this week. It probably means little as far as the radar development is concerned - but the Chinese casino is probably dead in the water.
(Photos: Part of Whipps’ list and election results)